SEOからAI検索最適化へ|クリニックが今から取り組むべきGEO・LLMO対策
Google検索で上位表示されているにもかかわらず、以前ほどホームページへのアクセスが増えない——。
最近、このような変化を感じているクリニックもあるのではないでしょうか。
その背景には、Googleの検索結果に表示される「AI Overview(AIによる概要)」や広告、Googleマップなどの影響があります。
検索結果の画面構成が変わり、従来の自然検索1位が、必ずしも最も目立つ場所ではなくなってきました。
特にスマートフォンでは、画面上部を広告やAI Overviewが占めるため、自然検索の上位ページがスクロールしなければ見えないこともあります。
SEOで上位を獲得できていても、クリックや流入につながりにくい「ゼロクリック検索」が増えているのです。
こうした変化を受け、海外では従来のSEOに加えて、GEOやLLMOと呼ばれる「AI検索最適化」への取り組みが進んでいます。
本記事では、ボストンで開催された検索マーケティング会議「SMX Advanced」の参加報告動画で紹介されていた内容を参考にしながら、クリニックの集患やブランディングにどのような変化が起きるのかを考えます。
※本記事は特定の動画内容を転載するものではなく、公開されている情報を参考に、医科・歯科クリニック向けの視点から独自に整理・解説したものです。
SEOから「AIに選ばれるための対策」へ

これまでのSEOでは、「地域名+診療科」などのキーワードでGoogle検索の上位を目指すことが、重要な集患施策の一つでした。
例えば、次のような検索です。
- 名古屋市 内科
- 中村区 歯科
- 名駅 矯正歯科
- 地域名 発熱外来
- 地域名 訪問診療
検索結果で上位に表示されれば、ホームページへのアクセスが増え、予約や問い合わせにつながるという流れです。
しかし、AI検索ではユーザーが複数のサイトを一つずつ確認するとは限りません。
ChatGPTやGemini、GoogleのAI OverviewなどがWeb上の情報を整理し、質問に対する回答を直接提示するようになったためです。
例えば、ユーザーは次のような質問をAIにする可能性があります。
名古屋駅周辺で、仕事帰りに受診できる内科を教えてください。
子どもの診療にも対応していて、駐車場がある歯科医院はありますか?
高血圧と糖尿病をまとめて相談できるクリニックを探しています。
AIは単にリンクを一覧表示するのではなく、ユーザーの条件に合いそうな医療機関を整理し、選択肢として提示します。
つまり、これからはGoogle検索で上位を目指すだけでなく、AIにクリニックの特徴を正しく理解してもらい、回答の中で言及・推薦されることが重要になります。
1.AIに言及されることがクリニックの差別化になる
クリニックは、一般的な商品やサービスと比較して差別化が難しい業種です。
同じ地域に複数の内科や歯科医院があり、標榜する診療科や診療時間、提供する治療内容も似ているケースが少なくありません。
患者さんから見ると、ホームページを確認しても「どのクリニックを選べばよいのか分からない」という状態になりやすいのです。
そこで重要になるのが、AIによる言及です。
AIがユーザーの相談内容に応じて、
- どのような診療に対応しているか
- どのような患者さんに向いているか
- 他院と何が異なるか
- どの地域から通いやすいか
- どのような設備や診療体制があるか
といった情報を整理し、クリニック名とともに提示すること自体が、新しい差別化になる可能性があります。
例えば、単に「内科」と認識されるのではなく、
- 生活習慣病の継続管理に力を入れている
- 循環器疾患を専門的に相談できる
- CTや超音波検査に対応している
- 通院が難しい患者さんへの訪問診療を行っている
- 女性医師の診療日がある
- 駅から近く、仕事帰りにも受診しやすい
といった具体的な特徴までAIに理解されることが重要です。
「AIの回答で名前が挙がる」という体験が増えれば、ユーザーがその場でクリックしなくても、クリニック名を記憶する可能性があります。
後からGoogleでクリニック名を検索したり、Googleマップで場所や口コミを確認したりすることも考えられます。
AIへの言及は、直接的な流入を獲得する施策であると同時に、クリニックの認知を形成するブランディング施策でもあるのです。
2.SEOで1位でも流入が減る可能性がある
AI検索が広がったからといって、SEOが不要になったわけではありません。
AIが回答を作るためにも、正確で信頼できるWeb上の情報が必要です。
公式ホームページの内容を充実させることは、従来のSEOにもAI検索最適化にも共通する基盤となります。
一方で、「検索1位を獲得すればアクセスが増える」という従来の考え方は見直す必要があります。
現在のGoogle検索結果には、キーワードによって次のような情報が表示されます。
- リスティング広告
- Googleマップの検索結果
- AI Overview
- 関連する質問
- 動画や画像
- 自然検索結果
特にスマートフォンは表示領域が狭いため、広告やAI Overviewが表示されると、自然検索1位のページでもファーストビューに入らないことがあります。
ユーザーがAI Overviewの回答だけで疑問を解決すれば、ホームページをクリックしないまま検索を終える可能性もあります。
この結果、検索順位を維持しているにもかかわらず、次のような現象が起こります。
- 検索順位は下がっていない
- 検索結果には表示されている
- しかしクリック率が下がる
- ホームページへの流入が減る
- GA4上の問い合わせ数も伸びにくくなる
したがって、今後は順位とアクセス数だけでSEOの成果を判断することが難しくなります。
3.AI検索の成果には「計測できない領域」がある
従来のデジタルマーケティングでは、アクセス解析を使って成果を測定できることが大きなメリットでした。
例えばGA4では、次のような情報を確認できます。
- どの検索エンジンから訪問したか
- どのページを最初に見たか
- 問い合わせや予約につながったか
- 広告をクリックして来院したか
しかし、AI検索ではユーザーの行動経路が複雑になります。
例えば、次のような流れです。
- ChatGPTで症状やクリニックの選び方を相談する
- AIの回答でクリニック名を知る
- その場ではホームページを開かない
- 後日、Googleでクリニック名を検索する
- Googleマップで口コミや診療時間を確認する
- 電話やWeb予約を利用する
この場合、GA4上では「Googleの指名検索から訪問した患者さん」として記録される可能性があります。
しかし、最初にクリニックを知ったきっかけはAIです。AI上での接触と、後日の指名検索や予約が別々のセッションになるため、AI検索がどこまで来院に影響したのかを正確に把握できません。
今後は「計測できないから効果がない」のではなく、「計測できなくても、患者さんの意思決定に影響している可能性がある」と考える必要があります。
4.パフォーマンスマーケティングからブランドマーケティングへ
アクセス数、クリック数、問い合わせ数などを細かく計測し、費用対効果を改善する考え方は「パフォーマンスマーケティング」と呼ばれます。
これまでのSEOやWeb広告では、この考え方が中心でした。
一方、AI検索では正確なアトリビューションが難しくなるため、ブランドマーケティングとして捉える視点が必要になります。
テレビCM、ラジオ広告、新聞広告、屋外看板などは、多くの人に見られていても、広告を見た人数や来院への影響を完全に把握できません。
AI検索におけるブランドの表示も、これに近い性質を持っています。
AIの回答でクリニック名や特徴を目にしたユーザーが、その場では行動しなくても、必要になったときに思い出してくれる可能性があります。
そのため、今後は次のような指標も確認する必要があります。
- クリニック名の指名検索数
- Googleビジネスプロフィールの表示回数
- Googleマップからの電話・経路検索
- AI回答でのクリニック名の言及状況
- 診療内容や特徴がAIに正しく理解されているか
- 地域内でのブランド認知
- 新患アンケートの「当院を知ったきっかけ」
数値だけでは捉えられない認知の変化を、複数の情報から総合的に判断することが重要です。
5.クリックされなくても「表示されること」に価値がある
検索結果の上部を広告やAI Overviewが占めるようになると、自然検索結果は画面の下へ押し下げられます。
そのため、従来のように「1位を獲得してクリックしてもらうこと」だけをSEOの目的にすると、実際の検索行動と合わなくなる可能性があります。
これからは、検索結果やAI回答の中で、クリニック名や特徴がユーザーの目に触れること自体にも価値があります。
これが「インプレッションSEO」という考え方です。
例えば、ユーザーが「名古屋駅 内科」と検索したとき、次の複数の場所で同じクリニックを目にすれば、安心感や認知につながります。
- Googleマップ
- AI Overview
- 自然検索結果
- 医療機関の比較・紹介記事
- 口コミサイト
- 地域メディア
- SNSや動画
ユーザーがその場でクリックしなくても、複数回クリニック名に接触することで「以前も見たクリニック」という印象が残ります。
特に医療機関は、知らない医院へすぐに予約するとは限りません。受診が必要になったときに思い出してもらうための接点を増やすことが重要です。
6.単一のキーワード対策から「トピック全体の専門性」へ

従来のSEOでは、「地域名+診療科」のような検索数の多いキーワードを選び、そのキーワードに対応するページを作る施策が一般的でした。
しかし、AIを利用するユーザーは一度の検索で判断するとは限りません。AIとの対話を通じて、条件を細かくしていきます。
例えば、最初は「名古屋市で内科を探している」という相談でも、会話が進むにつれて次のように分岐します。
- 高血圧を相談したい
- 糖尿病の継続治療を受けたい
- 健康診断で異常を指摘された
- 胸の痛みがあり循環器内科を探している
- 発熱がある
- 土曜日に受診したい
- 駅から近い医院がよい
- 駐車場が必要
- 訪問診療について相談したい
AIに適切な医療機関として認識してもらうためには、こうした多様な質問に答えられる情報をホームページ上に用意する必要があります。
特定のキーワードだけを狙うのではなく、診療に関連するトピックを網羅し、「この分野について詳しいクリニックである」と検索エンジンやAIに理解してもらう考え方を「トピカルオーソリティ」と呼びます。
7.クリニックが構築すべきトピカルオーソリティ
例えば、生活習慣病に力を入れている内科であれば、「生活習慣病」というページを一つ作るだけでは十分ではありません。
患者さんが知りたい内容を、複数のページやFAQで具体的に説明します。
疾患に関する情報
- 高血圧
- 糖尿病
- 脂質異常症
- 高尿酸血症
- メタボリックシンドローム
症状や受診のきっかけ
- 健康診断で血圧を指摘された
- 血糖値が高いと言われた
- コレステロール値が高い
- 動悸や息切れがある
- 薬を継続して処方してほしい
検査や診療体制
- 血液検査
- 尿検査
- 心電図
- 超音波検査
- 血圧・血糖の継続管理
- 他院や専門病院との連携
患者さんの疑問
- どの数値になったら受診すべきか
- 健康診断の結果を持参すべきか
- 当日に検査を受けられるか
- 食事や運動の相談はできるか
- 薬だけの受診はできるか
- 初診時に必要なものは何か
これらの情報が整理されていれば、患者さんにとって分かりやすいだけでなく、AIもクリニックの対応範囲や専門性を理解しやすくなります。
記事数を機械的に増やすのではなく、実際の診療内容に基づいて、患者さんの疑問を「面」でカバーすることが重要です。
8.AI検索最適化で重要になる情報の整合性
AIは公式ホームページだけを見て回答しているとは限りません。
Googleビジネスプロフィール、医療機関の情報サイト、地域メディア、SNS、口コミ、ニュース記事など、複数の情報源を参考にする可能性があります。
そのため、Web上の情報が食い違っていると、AIがクリニックを正しく理解できない場合があります。
特に確認したいのは次の項目です。
- クリニック名
- 住所
- 電話番号
- 診療時間
- 休診日
- 診療科
- 医師名
- 対応している症状や治療
- 検査・設備
- 駐車場やアクセス
- 予約方法
例えば、公式ホームページとGoogleビジネスプロフィールで診療時間が異なれば、患者さんだけでなくAIもどちらを信頼すべきか判断しにくくなります。
SEO、MEO、LLMOを別々の施策として扱うのではなく、Web上の医院情報を一貫させることが共通の基盤になります。
9.構造化データやllms.txtだけでは十分ではない
AI検索最適化というと、構造化データやllms.txtなどの技術的な対策が注目されます。
これらは、Webサイトの情報を検索エンジンやAIが理解しやすい形に整理するための手段です。
ただし、設置するだけでAIから必ず推薦されるわけではありません。
重要なのは、元となるホームページの情報です。
- 誰が診療しているのか
- 何を専門としているのか
- どのような患者さんに対応できるのか
- どのような検査や治療を行っているのか
- 他院との違いは何か
- 情報が最新の状態に保たれているか
内容が不十分なまま技術的な設定だけを追加しても、AIが推薦に必要な判断材料を得られません。
構造化データやllms.txtは、充実したコンテンツをAIに正しく伝えるための補助的な仕組みとして考えることが適切です。
10.これからのSEOはLLMO・GEOの土台になる
AI検索が広がっても、SEOがなくなるわけではありません。
むしろ、これまでSEOで重視されてきた次の取り組みは、LLMO・GEOにおいても重要です。
- 正確で分かりやすい診療情報
- 患者さんの疑問に答えるコンテンツ
- 専門家による監修
- 医師・クリニック情報の明示
- ページ同士をつなぐ内部リンク
- スマートフォンでの読みやすさ
- 表示速度と安全性
- 定期的な情報更新
- 外部サイトからの信頼できる言及
変わるのは、SEOの目的です。
これまでは「検索順位を上げてホームページへ誘導すること」が中心でした。
これからは、それに加えて「AIに正しく理解され、ユーザーの選択肢として言及されること」までを考える必要があります。
SEOとLLMO・GEOは対立するものではありません。質の高いSEOを土台として、その情報をAIにも理解されやすく整えることが、これからの検索対策です。
クリニックが今から確認したいAI検索対策
まずは、次の項目から確認するとよいでしょう。
- ChatGPTやGeminiに自院について質問してみる
- 診療内容が正しく回答されるか確認する
- 競合クリニックと比較されたときの違いを確認する
- 公式ホームページの情報量を見直す
- 診療科だけでなく症状や検査について説明する
- 患者さんからよく聞かれる質問をFAQにする
- Googleビジネスプロフィールを最新の状態にする
- Web上の名称・住所・電話番号を統一する
- 医師の専門性や診療方針を明記する
- 構造化データやllms.txtの設定を確認する
- AI上での言及状況を定期的に記録する
一度にすべてを変更する必要はありません。
まずは「AIが現在どのように自院を認識しているか」を確認し、不足している情報や誤っている情報を整理することが第一歩です。
まとめ|SEOからAI検索最適化へ|クリニックが今から取り組むべきGEO・LLMO対策
検索結果の画面は大きく変化しています。
特にスマートフォンでは、広告やGoogleマップ、AI Overviewが自然検索結果より上に表示されるため、SEOで1位を獲得していてもホームページへの流入が減る可能性があります。
今後は、検索順位やクリック数だけでなく、AIの回答や検索結果の中でクリニック名がどの程度ユーザーの目に触れているかを考える必要があります。
AI検索の成果には、GA4では正確に計測できない領域があります。しかし、AIでクリニックを知ったユーザーが、後から指名検索をしたりGoogleマップを確認したりすることは十分に考えられます。
クリニックは差別化が難しい業種だからこそ、AIに診療方針や専門性を正しく理解され、患者さんの選択肢として言及されることがブランディングになります。
SEOをやめるのではありません。
従来のSEOを土台に、MEO、LLMO、GEOを連携させ、「検索で見つかるクリニック」から「AIにも選択肢として挙げられるクリニック」へ移行することが、これからのWebマーケティングでは重要になります。
AI検索で自院がどのように見えているか確認しませんか?
株式会社アドメディカルでは、医科・歯科クリニックを対象に、ChatGPTやGoogleのAI検索における認識状況を確認し、ホームページ・Googleマップ・LLMO対策の改善をご提案しています。
「自院がAIに正しく理解されているか知りたい」という方は、お気軽にご相談ください。

株式会社アドメディカル代表。大学卒業後、大手予備校に就職。学生募集に携わる。特にデジタル領域に力を注ぎ、 ホームーページの SEO・MEO対策・LLMO対策、 インターネット広告、コンテンツマーケティングを中心に売上拡大。少子化が進む 教育業界で毎年120%売上を伸ばす。独立後は、予備校時代のノウハウと人脈を生かし、富裕層向けの広告プランニング、 SEO・MEO・LLMO・インターネット広告のインハウス(内製)化のサポートを中心に事業展開。一般社団法人AI・IoT普及推進協会マスターコンサルタント。










